前回のコラムでも触れましたが、最近、郊外や地方に不動産を所有していた地主や資産家が、都心の収益物件を購入するというケースが増えています。都心の高収益物件に買い換えることにより、所有不動産の収益性を高めようというわけですが、この収益不動産の組換えの際に、よく活用されるのが「事業用資産の買換え特例」です。今回は、この特例の具体的な内容を紹介しましょう。
1.「買換え特例」って何
個人が長期所有の土地や建物を譲渡した場合、譲渡益に対して26%の譲渡税(所得税と住民税)が課税されます。このため、個人が事業内容の転換を図るため、所有する事業用資産を売却して別の事業用資産を購入したい場合でも、譲渡税が取られるため売却代金をそっくり新しい資産の購入代金に充てることができません。
そこで、税制面で個人事業者の事業内容の転換を後押しするため、一定の条件を満たした事業用資産の買換えのための譲渡については、原則として8割部分の譲渡益の課税を繰り延べ、譲渡益の2割のみに税金をかける制度が「事業用資産の買換え特例」です。
事業用資産の買換え特例は、対象者が個人の場合、全部で21種類のパターンがあります(なお、ほぼ同様の制度が法人税に設けられています)。この買換え特例のうち、最もよく使われるのが、次に紹介する「長期所有の土地建物等から土地建物等への買換え特例」です。
2.「長期所有の土地建物等から土地建物等への買換え特例」とは
「長期所有の土地建物等から土地建物等への買換え(21号買換え)」の適用があるのは、国内にある譲渡年1月1日における所有期間が10年超の長期所有の事業用不動産を譲渡して、新たに事業用不動産や機械装置に買換えた場合です。
つまり、「所有期間10年超の事業用不動産から事業用不動産または機械装置への買換えであれば、原則として譲渡益の2割部分のみの税金で国内のどこへでも買換えが可能」であり、買換え特例のなかでも大変使い勝手がよい制度です。
ただし、「長期所有の土地建物等から土地建物等への買換え」は、使える期限が決められており、平成15年12月31日までの譲渡までに限定されています。そこで、冒頭にお話したとおり「都心不動産への組換えは、今がチャンス」というわけです。
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