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 第一回 鬼門
風水で快適生活

第一回 鬼門
文/戸矢 学

猿・雉・犬が鬼退治
 

最も日本的な風水は「鬼門」です。
「鬼門にトイレを造ると主人が死病に取り憑かれる」「鬼門に玄関がある家は不幸にみまわれる」といったたぐいのことが、ちまたの“風水本”などには必ず書かれています。/p>

これは本当なのでしょうか? その理由・根拠は? そして、対処の方法は?

私たち日本人には「鬼門信仰」とでも呼ぶべきものが根強くあります。方角で言えば北東。その反対方位の南西は「裏鬼門」と呼ばれています。ほかの方位で特別な呼び名の付くものがないこともあって、いかに私たちが「鬼門」を重要視して来たかわかります。

ところで、昔話の『桃太郎』。日本人なら誰でも知っているキャスティングを思い浮かべてください。桃太郎が猿、雉、犬を配下に連れて行って、鬼ヶ島の鬼退治を成し遂げる、というお話ですね。

実はこの話、「鬼門封じ」のことなのです。

鬼を退治するのに、どうして猿、雉、犬なのかと考えたことはありませんか? 味方がそれだけではなんとも頼りない! しかし大丈夫。

方位図 右の方位図をご覧ください。十二支の丑(うし)寅(とら)の方位が鬼門です。その正反対は正の方向へ申(さる)・酉(とり)・戌(いぬ)となっています。つまり、鬼に対して正義をおこなうには、猿・鳥・犬がふさわしいのです。ちなみに、日本では昔から「鳥」と云えば「雉」のことを指していました。

なお、鬼の姿は「二本のツノと虎皮のパンツ」が定番ですが、これはもちろん鬼門が丑寅の方位だからです。ちなみに、彼の地では「鬼」とは「幽霊・妖怪」などのこと。二本のツノに虎の皮のパンツというのは、日本オリジナルのスタイルです。

 
鬼門に礼をつくす
 

さてそれでは「鬼門」とは、いったい何でしょう?

家を建てようと云う方々は、家相や風水のにわか勉強をすることが少なくありません。そしてそういった種類の本を開けば、なにはともあれ「鬼門」の解説がつきものです。そんな次第でほとんど常識のようになっているのは、こんな感じでしょうか。

「鬼門はいつもきれいに清潔にし、花など飾って大切に保ち、決してトイレやキッチン、玄関を設けたりしない」

これは鬼門への処し方として妥当です。

「鬼門はおろそかに扱うと祟るから」とはよく聞く言葉です。

でも、よく考えてみてください。「いつもきれいに清潔にし、花など飾って大切に保つ」とは、まるで神棚にするようではありませんか!

そうなんです。「鬼門(丑寅・東北)」とは、実は「神の方位」なのです。つまり最も尊い方位です。

京都の鬼門には下賀茂神社があり、比叡山・延暦寺があります。東京の鬼門は神田明神、寛永寺、さらに東照宮、という布陣です。都の守り、ですね。

だから、住宅でも会社でも、鬼門に神社があればベストなのです!(最近、都市部の寺院はあまり頼りにならないようなので、おすすめは神社です)v日本のいわゆる「家相」と云われるものは、極論すれば「鬼門風水」とでも言えるかも知れません。「鬼の祟り」を避けることが大前提になっているからです。

しかし私たち現代の日本人には、東北方面に特に脅威はなく、恐れる理由はありません。たまたま京都でも、初期の頃は北から東北にかけて賊徒の拠点があったようで、しばしば強盗・盗賊はそちらからやってきました。これが平安京の風水成り立ちに大きな影響を与えたことは否めないでしょう。しかし後に賊徒は消滅して、霊地聖地としてのみ記憶されるようになります。

すでに神道の世界では「丑寅の金神(こんじん)」として畏敬・尊崇されています。とりわけ教派神道を代表する大本教や金光教では、鬼門の神を最も重視して、主祭神として位置付けているくらいです。

脅威となるほどの神は、祀れば強力な守護神となる、ということです。

菅原道真公を祀る天神は、当初は怨霊神として畏怖されましたが、後には受験の神様として信仰を集めるようになります。つまり、忌み、避ける、ということではなく、大切に清潔に祀れば、その強力な守護が得られる、ということなのです。

 
気の流れを大切に
 

それでは、すでに鬼門にトイレやキッチン、玄関がある家はどうしたらよいか。
基本は、常に清潔を保つことと、換気通気を心がけることで回避できます。これはかつての日本の住宅事情が影響しています。

トイレはかつて「不浄の場所」でした(今でもトイレを「ご不浄」と呼ぶお年寄りがいます)。でも今やほとんどが水洗トイレ。清潔に保てば「不浄」ではありません。

玄関は、外から運んできた汚れが溜まりやすい場所です。常に清掃を心がけて、風通しを良くすることで解消されます(個々については、後の章であらためて詳しく解説します)。

キッチンは、やはり調理にともなって生ゴミが出ますから、これもまめに片付けて、換気をおこない、清潔・乾燥を心がけることで解消されます。かつては土間にカマドといった構造で、汚れやすく、湿気もこもりやすい、火事の危険も、というのが宿命でしたが、現代のキッチン・システムであれば、そう悩む必要もありません。

いずれも、良くない気の滞留を防ぐことで解消されます。

以下は「悪気」「凶気」を払う方法として一般的なものですが、とくに鬼門の払いには有効です。

鬼門の払い

基本は、くれぐれもおろそかに扱わない、ということです。それさえ間違わなければ、むやみに祟ることもありませんし、むしろ住まいの守護神になるはずです。

(第1回 了)
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