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アーバンリッチへの道
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風水で快適生活
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 第十二回 暦(こよみ)
 第十一回 梅雨
 第十回 緑樹
 第九回 門松
 第八回 螺旋水路
 第七回 お中元
 第六回 五色不動
 第五回 ひな祭り
 第四回 節分
 第三回 恵方
 第二回 地鎮祭
 第一回 鬼門
風水で快適生活

第七回 お中元
文/戸矢 学

お中元は「値段」ではない?
 
毎年、6月に入ると、早くもデパートは「お中元商戦」に突入です!
贈答品商売の書き入れ時、と言えば、やはり何と言ってもお中元のこの時期と、お歳暮の年の瀬に尽きるでしょう。
その慣習の善し悪しといった“評価”については措いておくとしても、これは「日本ならではの生活慣習」であり、もっと言えば「日本独自の生活慣習」です。
ひところは「虚礼廃止!」などと言って、お中元やお歳暮がやり玉に挙がった時期もありました。
バブル期には、社会情勢が言わせた側面もあったでしょうし、ほんとうに「虚礼」としか思えない「」の入っていない贈答品も少なくなかったようです。たとえ値段が高くても、です!
お中元は「値段」ではありません。それこそ「」が大事なのです。
感謝の気持ち、親愛の気持ち、報恩の気持ち──そういった色々な気を体現しているならば、たとえ手拭い一本(今やむしろ珍品でしょうか!)でも良いのです。
なにしろそれは「」ではなく「」なのですから、値段とは無関係です。
 
神様の誕生日の贈り物?
 
さて、その「お中元」という呼び名、なにやらいかにも意味や由縁がありそうですね?
これにくらべて「お歳暮」はいかにも簡単です。「歳の暮れ」ですから、まさに読んで字の如し、ですね。
同じように贈答を意味する「お年賀」というのもありますが、これもやはり、年の賀ですから、新年の始めの挨拶という意味で、そのものズバリです。
しかし「お中元」は、もう少し意味が深そうに思えませんか?
中元があるなら、上元と下元もありそうです。
実は、この三つを「三元」といって、道教(タオ)の神様の誕生日なのです。
風水や陰陽道は古代の道教(タオ)に発していますが、その根本は「陰陽五行」という哲学にあります。
ここでは詳しい説明はしませんが、この哲学=考え方のベースになっているのが、世界をいくつかに類型化して解き明かそうとするものです。
「陰と陽」の二元論、「木・火・土・金・水」の五元論は、基本中の基本です。
そして、もう一つの基本が「三元」です。
日頃お馴染みのところでは、麻雀の「大三元」。白・発・中ですね!
もう少し高尚なところでは、天・地・人というのもあります。これは哲学的な表現で古くからしばしば使われています。「天の利、地の利、人の利。」──などという一文を知っている人も少なくないでしょう。
これら一連の「三元」のおおもと(大元)は、天官・地官・水官という神様で、この三神を「三官」あるいは「三元大帝」と呼びます。
天官は「賜福」を司る神様、つまり福を与える役割です。
地官は「赦罪」を司る神様、つまり罪を許す役割です。
水官は「解厄」を司る神様、つまり厄を払う役割です。
さて、三元を整理してみましょう。

 上元 正月15日 天官の誕生日 お年賀
 中元 7月15日 地官の誕生日 お中元
 下元 10月15日 水官の誕生日 お歳暮

15日は旧暦では満月の日です。
つまり「お中元」とは、人間の罪を許す神様に感謝を込めて、満月の日にお供物をささげる日なのです。
お年賀もお歳暮も同様です。ただ、お中元だけは、たまたま仏教行事の盂蘭盆会(うらぼんえ)いわゆる「お盆」の行事と重なって、江戸時代からとくに盛んになりました。
現在では一般的に、関東で7月の上旬くらいから15日までの間に、関西では7月15日くらいから8月15日までに先方に届けるようになっています。
 
満月の日に開けるのが正しい?
 
しかし三元の日は、本来満月の日ですから、当然のことながら陰暦に基づかなければ合わなくなってしまいます。
太陽暦の7月15日は満月にならないので、太陰暦(旧暦)のしかるべき日におこなうのが正しいお中元です。
本年は、8月19日(金)がその日になります(毎年異なるのでご注意!)。
ちなみに新年の挨拶である「お年賀」は、2月23日でした。これが旧暦の1月15日に当たります。また、歳末の「お歳暮」は11月16日になります。
満月といえば中秋の名月ですが、これは旧暦8月15日(新暦9月18日)で、一年で最も美しい月を観ることがでる、とされています。
平安時代の公卿たちは優雅に月のサイクルを楽しんでいたようですね。
電気のない時代に夜ほど怖いものはありませんが、それだけに満月の明るさは特別であったのです。
月を愛で、歌を詠み、神様に供えたお供物のお下がりを頂戴する、という訳です。
だから、お中元も元々はお供物となる「飲食物」でした(私の個人的趣味では、お酒と肴のコンビがいいかな!)。
いまやほとんどの家では、神祭りもお月見も行われなくなってしまいましたが、お供物の習慣だけが残ったという訳です。
贈り物は、せめて満月の日に開けると良いかもしれません。
(第7回 了)
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