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風水で快適生活

第十五回 厄年
文/戸矢 学
 
■平成20年度(西暦2008年) 厄年一覧
※年齢は数え年

いよいよ、あなたの番?
 
「厄年の42歳に大病をした」あるいは「亡くなられた」という話は時々耳にしませんか?
 私の周囲でも、最近ありました。
 とはいうものの、その人の没年がたまたま厄年と重なったために「やっぱり!」ということで、ことさらに告知の声が大きくなってしまうというのもあるでしょう。
 また、何かに運命的な理由を求めたい、「諦める」ための言い訳を得たい、といったこともあるかもしれません。
 「厄年」には、そんな役割もあるようです。そう考えることで、「気安め」になる。──「気」が安まるという効能ですね。
 「気が枯れる」と「けがれ(穢れ)」になるということからも、「気が安まる」のは実は大切なことと気が付くかもしれません。
 また厄年、なかでも大厄の年齢について医学的根拠をかかげる人もいるようです。
 男性の42歳と女性の33歳は、体力的に端境期に当たっていて、病気になりやすいというものです。
  昔の人はそれを経験則として知っていて、それが陰陽道に反映されたのではないかと。
 体力に任せて突っ走ってきた人生に、このへんでちょっとブレーキをかけて、リストアしてみようという気にさせてくれるだけでも意義があるのではないでしょうか。
  思い返してみれば、私もその頃がくっと酒量が落ちて、酔いがまわるのも早くなり、明らかに体力の節目に来ていたようです。
 そんなことから語呂合わせで「死に(42)目に遭う」「散々(33)な目に遭う」などと言われるようになったものでしょう。
 
厄払いは、平安時代から。
 
厄年には、厄除けとして神社で「ご祈祷」と「お祓い」を受けるのが今では慣習化しています。
 神社には図のような「厄年一覧」が掲げてあるので、新年のお参りで自分の厄年を初めて自覚して、厄除けを思い立つ、という人も少なくないようです。
 それでさっそく思い立って厄除けのお祓いを受けるのももちろん大切ですが、同時に日本には古くから厄年には「身を慎しむ」という風習があります。
 そもそもの厄年の由来は、平安時代までさかのぼります。
 平安貴族たちの「厄」を恐れることは、今の私たちからは想像もつかないくらいのもので、当時の貴族の日記を見ますと、ほとんど毎日のように何かの厄除けをしていたことがわかります。
 凶兆や凶事の際に、禁忌を守って、一定の期間身を慎むことを陰陽道では「物忌(ものいみ)」と呼んでいます。
 これは、もともとは古神道に発するもので、神祇令には「弔問、病気見舞、肉食、刑罰、音楽、触穢(しょくえ)」を禁ずるとあります。つまり「おとなしくしていなさい」ということですね。
 そのため平安貴族たちは、門戸を閉ざして家に籠もり、簾に「物忌」と記した札を下げていました。
 そして物忌の間は、なにがあっても大声を出さないこと、また家人以外の誰にも面会しないこと、など数々の禁忌があって、ひたすらそれらを守り通したのです。
 その間、実に一ヶ月に及ぶことさえ珍しくありません。
 現代人には到底無理な話で、これでは私たちの生活は成り立ちません。
 平安貴族というのはそういう意味でも“優雅”なものであったのです。
 それでも、こういった物忌は、いわば「消極的な」方法です。
 凶運が通り過ぎて行くのを、ひたすらじっと蹲ってやり過ごす方法ですね。
 これに対して、能動的に凶兆を排除する方法、それが「お祓い」による厄除け・厄払いです。
 明治時代になってその役割が神道へ移管されるまで、千年以上の間、陰陽道の主要な役目でした。
 陰陽道の祓はまことに頻繁で、一ノ祓、八ノ祓、望月ノ祓、晦ノ祓などが日々おこなわれ、凶兆凶事に対してきわめてナイーブな対処をおこなっていました。
 なかでも六月晦日におこなわれる「名越の祓え」は、今に続く、とりわけ重要な陰陽道祭祀です。
 
厄年は、成功のチャンス!?
 
厄年は、日本独特のもので、神社やお寺を訪ねると「厄年の一覧表」がたいてい掲げてありますが、その根拠まで承知しているところは稀でしょう。
 厄年は、陰陽道の「方位除け」に基づいています。
 詳細ははぶきますが、その年に本人の宿命星がどの方位に当たるか、そしてその当該の方位が凶方位の場合に厄年になるという訳です。
 ただし、これはあながち悪い意味ではありません。
 もともとこの年回りの男性は、潔斎をして、神事・神祭りの「役」を担当します。
 つまり「役回りの年」に由来するのです。「役員の年」で「役年」ですね。
 神事の役は、責任のある重いものです。
 そのために「やだな」「早く終わってくれないかな」「無事に過ぎ去ってくれるよう祈ろう」ということになります。
 また、「役年」という本来の意味から、「チャンスの年」「挑戦の年」という意味もあります。
 新事業など新しいことに挑戦するならこの年が絶好です。
 いわば人生の転換点(ターニング・ポイント)なのです。
 
 なお、厄年は当人の誕生日を基準にします。
 別掲の「厄年一覧」で、みてみましょう。
 たとえば昭和51年6月12日生まれの女性は、来年の平成20年に大厄を迎えますが、6月11日までは前厄、6月12日から大厄となります。厄払いの際にお間違えのないように。
 ちなみに厄払いの祝詞(のりと)は、神威(しんい=神の威力)を迎えるもの。どうぞより大きな支援を得て、新しいことに挑んでください。
(第15回 了)
 
★鎮宅霊符(筆者蔵)
究極の厄除けお守り札といわれるもの。縦50cmほどもあり、陰陽道の種々のお守り札が全部集まっている。「ちんたく」の名の通り、「宅(いえ)」を「鎮(しずめる)」ことに厄払いを集約しているもの。
 
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